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古いタイヤの交換の依頼でしたが、それよりもはるかに交換が必要な物がありました。
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ブレーキのディスクです。減り過ぎて厚みが0mmの部分があります。
クラックがほぼ一周に発生し、あと少しで分裂するところでした。
話を聞くと、摩耗限度を相当に超えた車両を購入してしまったようです。
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さすがにこれは状況を説明して交換させて頂きました。
現在は中古バイクの流通経路が多様化しているので車両によっては値段の幅も広がって手に入れ易くなっている反面、品質に関しては程度の良くない物も増えてきているように感じます。加えて中古車選びの際にも回りに相談できる人が居なかったりが重なると、今回のように初心者が非常に危険な車両に乗ってしまうケースが出てきてしまうのでしょう。
自分の命を預ける乗り物だけに、点検や整備にもっと関心を持ってバイクに接してもらいたいですね。
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簡単そうなスクーターの修理でちょとハマリました。
故障の症状は、ヘッドライト、テールライト、メーターライトが
全て点灯しなくなったというもの。
こんな場合の原因は、大抵は電気が通じてないか
電気が行きすぎて球切れを起こしているかのどちらかです。
早速ヘッドライトバルブをチェック。
見事にフィラメントが飛んでました。
こうなれば原因は電気の行き過ぎ。レギュレーターの
パンクだろうと判断し、
各バルブとレギュレーターを交換してエンジン始動。
当たり前のように正常点灯しました。
が・・・・ここから問題が・・・・
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オーナーが来店し帰ろうとした際、ライトの点滅が発生。
どこか接触不良??ハーネスを触ったら原因らしき線を
特定出来、カプラー(画像の赤丸)を外したら
内部が水や砂でかなり汚れていました。
そういえば、ライトが切れる前に点滅していたとは
オーナーの弁。
うーん。2つの症状は原因が違うけど、たまたま起こった
んだろうなぐらいに考えながらカプラーを掃除、端子
を修正して接続。
今度こそ問題無く点灯!と喜んでいたら、
突然ライトが怪しい光を放ち出し、ギラギラしたなと
思ったら最後の輝きも無くその場でご臨終。
???なんで???何かおかしい・・・・。
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常時点灯のライトが消えたのでレギュレーターに負担が掛かった
のかなどと少々迷走しましたが、よくよく調べたら意外な
ところでハーネスの断絶。
周辺をクリーンアップ後のこの写真では断絶していますが、
油と泥汚れとハーネスの束とで断線箇所を直接目視出来る状態
ではありませんでした。
恐らくここしばらくは断続状態だったと思います。
油と砂などが混ざった天然のコンパウンドたっぶりのハーネスが
スイングアームの搖動によってここまで削れたようです。
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配線図上ではこの部分です。
この線は、充電系統の線でライト系統ではありません。
ちょっとカラクリが解らなかったので少々調べてみると・・・・
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このレギュレートレクチファイアは上記のような回路を持っている
ようですね。(アドレスの場合はライトスイッチはありません)
ジェネレーターからの交流はダイオードとサイリスタ(SCR)1で、
直流に整流されバッテリーへ。
また交流のプラス成分のみこのDCレギュレーターで制御され、
設定電圧以上はツェナーダイオードからアースへショートされます。
ヘッドライト系は交流で点灯させているけども、プラスの成分は
DCレギュレーターで一緒に制御されるようです。
またマイナスの成分は充電系ではカットされ、ヘッドライト系では
サイリスタ(SCR)2からコイルへショートさせて制御されているようです。
つまりW/Rの線が切れるとライト系は独立した閉じた回路と
なってしまい、何の制御も効かなくなってしまうという事です。
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RG250γの初期型。懐かしいですね。
若かりし頃、モーターショーでコイツに一目ぼれしました。
どうにも欲しくていてもたってもいられず、地元のバイク屋さんではどこも
3ヶ月待ちの状態だったので、あちこちに電話をかけまくり、そんな状態でも
何故か即納だった上野のバイク屋さんに直行した記憶があります。
今考えれば、値引き無しで高金利のローンなんていうネガティブな要素は
まったく眼に入らず、早く手に入れたい衝動で突っ走ってました。
納車日もザーザー降りの雨の中、都内の渋滞でエンストしながら走った覚えが
あります。
この車両も、「若い頃にあこがれた」経験のあるオーナーが手にした物ですが、
やはり相当な年月を経過しているので老朽化が進んでいました。
走るには走るという状態から完調にとのご依頼です。
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2サイクルのエンジンはシンプルですが、各部の摩耗やシールの劣化などが
モロに性能低下に影響します。
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このクランクケースはまだ綺麗な方です。
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オイル以外に異物も見えます。
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やはりクランクシャフトが錆びていました。
4サイクルエンジンと違い、オイルに浸かってない事や、ガソリンで洗われる
事もあって、放置されると錆ついてしまう事があります。
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結構痛んでいます。
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こんな状態でも走るには走ります。
逆に、中古車でエンジンが掛かるからといっても・・・・
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シフトシャフトも大きく曲がっていました。
足で操作するところなので、無理な力で曲がってしまう事があります。
少しでも曲がりがあると抜けないのでこの状態で修正します。
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この年式の2ストのシリンダーは、バラすと錆びてしまっている物が多いです。
錆びるという事は、オイル分が揮発して無くなっている状態なので、
カサカサに錆びている状態から無理矢理エンジンを回された事があったはず。
しかも、長い年月を経てそんな事が2度3度起きているものも少なくありません。
これではシリンダーもピストン、リングも傷だらけになってしまいます。
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2ストエンジンのリフレッシュでは、ピストン、シリンダー回りは是非手を
入れたいところですが、あいにくメーカー純正のオーバーサイズピストンは絶版です。
排気デバイスが付いた後期型のピストンは手に入りますが、シリンダーポートの
形状の違いから、リングストッパーの位置が違っていてそのまま流用できません。
他がほぼ同寸法だけあって惜しいところです。
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そこで今回は、使えそうなリプロダクション品をUKから取り寄せました。
0.5mmオーバーサイズです。
これでボーリングすれば、シリンダーの傷や錆は綺麗に落とせます。
実物同士の比較では、まったく同じではないにせよ使える事が解りました。

これで要のシリンダー、ピストンはリフレッシュできました。
因みにこのピストン、更なるオーバーサイズも揃っています。先々安心です。
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2ストエンジンのもう一つの要、クランクシャフトもリフレッシュ。
ビッグエンドのベアリング、クランクベアリング、シャフトシールも交換しておきます。
シャフトシールはラバーなので経年劣化しますが、このシールが痛むと
ミッションオイルが一次圧縮室に入り込み、プラグ汚損→エンジン不調の
原因になったりします。
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シャフトやウエイトの錆も綺麗に落しました。
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トランスミッション、クランクケースなどもキレイにリフレッシュ。
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これでエンジンはかなりリフレッシュできました。